大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(オ)67 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理 由

上告人A1、A2、A3訴訟代理人目代誠吉、上告人A4、A5、A6、A7、

A8、A9、訴訟代理人藤井信義の上告理由第一点ついて。

所論被上告人先代Dが私利をはかつたという事実は、それ自体では何等同人に不

法行為があつたことを示すものではなく、上告人の原審における主張自体によるも

ただこれがためDは本件講の掛戻債務の引受人や保証人につき、その資力を考慮せ

ずまた担保を提供させなかつたり或いは極めて薄弱な担保や幽霊担保を提供させな

どして結局講の未取者に対し損害を与えたというにあつて、右所論の事実は単なる

事情として主張されたものと認むべくこれをもつて独立の不法行為を構成する事実

として主張されたものでないこと極めて明白である。さればこれが独立の不法行為

を構成する事実主張たることを前提とする論旨は既にその前提において採ることを

得ない。のみならず原判決はDが私利をはかる目的をもつて講未取者またはその債

権の譲受人たる上告人等に損害を与えたという事実を否定しているのであつて、こ

れにより自らDが私利をはかつたという所論の事実もまた否定されたものと認むべ

きであるから、原判決には何等所論のような判断遺脱はない。そして原判決が、D

が私利をはかり、不当な行為をしたがため上告人等に損害を与えたという事実を否

定した趣旨は、Dの不法行為による責任をも否定したものであること明白であつて、

原判決が同人の不法行為の点について判断をしないという論旨も採用し得ないこと

明である。所論はすべて理由がない。

同上告理由第二点について。

上告人等は原審において、Dの不当な行為の事例として第一審判決摘示の所論(

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一)ないし(十九)の事実を挙げ、しかも本訴請求の損害金はこれにより直接発生

した損害として算定するものではないと、主張したのである。しかし凡そ債務不履

行または不法行為による損害というがためには、債務不履行または不法行為に起因

して生じ、これと相当因果関係に立つ損害たることを要する。しかるに上告人等の

右主張は、単にDの不当行為を例示したに止まり、これと本訴請求に係る損害との

間に叙上の如き因果関係のあることを主張するものでないから、前記挙示の事実は

畢竟上告人等の主張する債務不履行または不法行為の事実を推断せしめる一の間接

事実として主張されたものと認めるの外なく、従つてこれにつき原審において、具

体的な判断を与えないからといつて所論のような判断遺脱または審理不尽の違法が

あるとなすことを得ない。また所論甲第三号証は前示(一)ないし(十九)の事実

を推認せしめる一の資料とはなり得るとしても、本訴請求に係る損害の前提たる債

務不履行または不法行為の事実と直接関連するものではなく、従つて原審において

同号証をもつても右の事実を認め得ないものとしたこと自ら明であり、この点につ

き所論のような違法はない、論旨はすべて理由なきに帰する。

同上告理由第三点について。

原判決は所論担保物審査員の審査があつたことを理由にDに責任がないとしたの

ではなく、同人が幽霊担保をとるにつき故意過失のあつたことの証拠がないからそ

の責はないとしたものであることは原判文上明瞭であり、この点に関する論旨は原

判旨に副わない非難をなすもので理由がない。所論Dの不当貸付に関する論旨は甲

三号証に基ずくものであるが、同号証が直接本訴請求原因たる事実に関連を有しな

いこと前点において説明したとおりである以上これを云為して原判決を非難する所

論も採用し得ないものといわなければならぬ。

よつて民訴四〇一条九五条八九条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判

決する。

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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